新型コロナウイルスの重症化リスクとして糖尿病、高齢、高血圧などの持病などが挙げられています。
糖尿病の方は、特に気をもんでおられると思います。
糖尿病という経歴だけで重症化リスクがあるのでしょうか。
糖尿病と言っても、なかなか血糖値をコントロールできない人から、HBa1cが5台でほぼ寛解と言える方々まで様々です。
中には合併症で透析を受けておられる方もいることでしょう。
糖尿病が重症化リスクではない。
実は糖尿病だからといって必ずしも重症化リスクではないのです。
Hba1cが標準近くで推移し血糖値をコントロールできている人や、さらにはほぼ寛解と言える状態になっている人は糖尿病という名前だけで重症化リスクとはなりません。
問題なのは糖尿病か否ではなく血糖値がコントロールできているかどうかが新型コロナウイルスの重症化リスクとなるのです。
さらに言えば、高血糖の状態が重症化リスクとなるのです。
米国糖尿病学会のの見解では糖尿病の既往歴ががあっても現在血糖値がコントロールされ寛解状態であれば全く健常者と変わらないということです。
重症化リスクだけでなく感染リスクも大きい
高血糖は新型コロナウイルスだけでなく様々な感染症に対して県船及び重症化リスクとなります。
その一つの要因として高血糖の状態は白血球などの免疫を担う細胞の機能を弱めることが分かっています。
それにより、体内に入ってきたウイルスを容易に増殖させてしまい、感染する確率も増えますし、当然重症化しやすくなります。
なぜ高血糖が新型コロナを重症化するのか
第一には先ほど述べた免疫力の低下です。
次に高血糖の人は肺炎にかかりやすいということがあります。
糖尿病を患っていて血糖値がコントロールできていない人は健常者に比べて1.8倍も肺炎にかかりやすいというデータ上がります。ですから当然新型コロナウイルスによる肺炎にもかかりやすく重症化しやすいと言えます。
また高血糖では血栓ができやすくなる傾向にあり、コロナウイルス自体が血栓症を起こすために血栓による動脈の梗塞や、毛細血管のダメージを容易に受けやすくなります。それが重症化の一つの原因となります。
それが脳や心臓で起これば、高血糖の方が感染すると重症化する前に突然死を起こす可能性も増加します。
実際、突然死をした人を検視すると糖尿病の罹患者でコロナウイルスに完成していたという例も見られます。
高血糖は肺の毛細血管にダメージを与える
高血糖は一般に血管系にダメージを与えます。
血液中のブドウ糖が多くなるとブドウ糖は血管壁にある内皮細胞に取り込まれます。
特に末梢の細い毛細血管はその存在さえも危ぶまれます。
特に糖尿病で腎不全になり人工透析が必要になる原因も腎臓の毛細血管がダメージを受けることで腎臓の機能が失われることによります。
高血糖は腎臓に限らずすべての毛細血管にダメージを与えます。つまり肺の毛細血管もダメージを受けていることでしょう。
そこへ新型コロナウイルスによる肺炎が加われば重症化しない訳がありません。
コロナウイルスは血管にダメージを与える。
糖尿病患者だけの話ではありません。
コロナ感染後に心不全や脳梗塞突然死する方が急増していると言います。
実はコロナウイルスが血管壁のACE受容体を攻撃して細胞内に入り込むためその結果血管にが傷つけられることが分かりました。
血管が傷つけられると、そこを修復しようとして小さな血液の塊ができます。
皮膚などが傷ついても血液が凝固して傷口をふさぐのと同じようなものです。
血液の小さな塊はいわゆる血栓となります。
その血栓が脳や心臓の大事な欠陥で詰まってしまうと脳梗塞や心筋梗塞を起こしてしまうのです。
ましてやもともと高血糖で血管がボロボロな方にはコロナ感染は致命的と言えるでしょう。
糖尿病の自覚のある方は血糖値の計測と、合併症の有無をしっかりと検査してください。
糖尿病でかつ、血糖値をうまくコントロールできていない方、何らかの合併症が出ている方は、特に感染予防に気を配らなければなりません。
糖尿病の合併症は殆ど血管のダメージからくるものですから。合併症があるということはコロナウイルスが攻撃する血管がすでにダメージを受けているからです。
血糖値をコントロールすることはもちろんですが、免疫力を上げることも大切です。
上げる事はもちろん一番最良ですができれば免疫を下げないことに注意しなければならない人もおることでしょう。
もう一度、生活習慣を見直し。睡眠を良くとり。バランスの良い食事。規則正しい生活。
そして何よりもストレスのない生活をすることが求められます。
それには適度な運動も必要でしょう。
コロナ禍で、大変な生活を強いられていますが、考えようによっては糖尿病の人がもう一度血糖値を寛解に持っていくことができるチャンスでもあります。
これを機に生活を見直してみるのもコロナ禍を乗り切るの一つの糖尿病治療家かもしれません。