HbA1cは血糖値を計る血液検査の項目のひとつです。HbA1c以外にも糖尿病の診断をする検査があります。順を追って見てみましょう。
糖尿病の検査の種類
糖尿病の検査には次のような代表的なものがあります。
1.尿糖
糖尿病が疑われたらまずは尿に糖が下りているかを調べる事が最初でしょう。
この検査は市販の試験紙で簡単にできます。陽性であれば糖尿病が疑われます。
陽性であれば血糖値がおおよそ170mg/dlを超えていることになりますが
この検査だけで判断する事は早計であくまでも選別の検査である事を認識しなければなりません。
つまり、この検査が陰性であっても糖尿病でないとは言い切れないのです。
もし、他の要因で糖尿病が疑われる場合は血液検査をしなければなりません。
2.血液検査
血液検査には一般に次のような検査が行われます。
<瞬間血糖値>
採血した時点の血糖値の値です。mg/dlで表されます
空腹時か食後かまた食後何分経っているかによって正常値が変わってきます。
ヒトは食事をすると45~60分に血糖がピークになりますが、
140mg/dlを超えることはあまりありません。そして2~3時間後に食前値に戻ります。
正常値は一般に次のように認識されています。
空腹時 80~110mg/dl未満
食後2時間 80~140mg/dl未満
<HbA1c>
瞬間血糖値では糖尿病が見逃されることがあります。
たまたま血糖値が低い状態にある可能性は否定できないからです。
これに対してHbA1c検査では過去3ヶ月の血糖値の状態が検査できます。
ブドウ糖が血液中のヘモグロビンAと結合したものを「グリコヘモグロビン」といい
血糖値が高い状態が続くと血液中の「グリコヘモグロビン」が増えて行きます。
これは血液中で約3ヶ月存在するため「グリコヘモグロビン」の濃度を計る事で過去3ヶ月の
血糖の状態が推測できるのです。
標準値ですが2012年4月1日より日本糖尿病学会では国際j基準を採用することになりました。
これにより従来標準とされていた血糖値が大きく見直される形になりました。
ほぼ、a1cにおいて0.4を加算した数値が標準とされるようになったのです。
標準血糖値の概要は以下の通りです。
評価 |
優 |
良 |
可 |
不可 |
|
不十分 |
不良 |
||||
HbA1c (新基準)% |
6.2未満 |
6.2~6.8 |
6.9~7.3 |
7.4~8.3 |
8.4以上 |
HbA1c (旧基準)% |
5.8未満 |
5.8~6.4 |
6.5~6.9 |
7.0~7.9 |
8.0以上 |
空腹時血糖値(mg/dl)
|
80~110未満 |
110~130未満 |
130~160未満 |
160以上 |
|
食後2時間血糖値 (mg/dl) |
80~140未満 |
140~180未満 |
180~220未満 |
220以上 |
<ブドウ糖負荷試験>
糖尿病が疑われる場合のより詳しい検査として「ブドウ糖負荷試験」があります。
空腹時に強制的にブドウ糖をのみ時間経過とともに血糖値を計測する検査です
手順はおおむね次ぎとおりです
75g経口ブドウ糖負荷試験
前日午後9時をもって絶食し検査に臨みます。
先ず空腹時の血糖値を計ります。
つぎに75gのブドウ糖を溶かした水を飲みます。
そして30分後、1時間後、2時間後の血糖値を計ります。
ブドウ糖負荷試験の結果判定
空腹時 |
ブドウ糖負荷2時間後 |
|
判定 |
126mg/dl以上 |
200mg/dl以上 |
どちらかを満たすと |
糖尿病型 |
糖尿病型の条件と正常型の条件のどちらも満たさない場合→ |
境界型 |
||
110mg/dl未満 |
140mg/dl未満 |
どちらも満たすと |
正常型 |
空腹時血糖値が125mg/dl以下でも75g経口ブドウ糖負荷試験で糖尿病が
診断される事もめずらしくないので空腹時血糖値だけでは糖尿病の判断は難しいのが
現実です。