筋膜リリースが糖尿病を改善する
東京医科大学八王子医療センター糖尿病・内分泌・代謝内科の天川淑宏氏は,膝から下に合併症の症状があり運動療法ができない糖尿病患者に下腿筋膜リリース(Myofascial Release;MR)を施行した結果,身体活動量が平均17%増加した他,体重減少,HbA1c値の改善などが見られたと第50回日本成人病(生活習慣病)学会学術集会(1月16~17日,会長=東京医科大学糖尿病・代謝・内分泌・リウマチ・膠原病内科学主任教授・小田原雅人氏)で報告したそうです。つまり下腿筋膜リリースは運動療法の代替となる可能性があるのです。
筋膜とは網目状の白く薄い膜です。
筋肉や内臓を包む膜であり、実は内臓や骨にも同じように膜があります。
つまり、筋膜とは体のあらゆる組織を覆って保護している膜なのです。
筋膜はねじれやすく縮みやすい性質を持っています。
筋膜は筋肉が運動しないと次第に硬くなっていきます。
この筋膜の変性が腰痛や肩こり、足の筋肉の痙攣などさまざまな症状を引き起こす原因となります。
筋膜リリースとは筋膜を物理的刺激によって解放することを言います。
具体的には筋肉から引きはがすような手技療法により筋膜を調整していくのです。
この操作は本来熟練したプロがやるものとされていましたが最近は自分でも筋膜リリースが行なえる器具も発売されて身近なものになっています。
糖尿病患者では筋膜が糖化され硬くなり関節が動きにくい状態になっています。
筋膜リリースを積極的に取り入れることで各関節が動きやすくなり運動量が増えます。
そのことによって活動の強さも大きくなり結果的に体重の減少とHbA1Cの改善につながるのです。
同科の実験では被験者の平均でHbA1Cの値が0.4%も下がったということです。
やはり糖尿病改善は運動できる状態に徹底的に行うことが望ましいと今さらながら痛感しました。