糖尿病の原因といえば生活習慣によるものがほとんどです。
その中でも最も多い原因としては過食であると考えられがちですが、
日本人の一日の平均摂取エネルギー量は
1970年代には約2200kcalあったものが
その後次第に減少して現在では
1902kcalまで落ち込んでいるのです。
にもかかわらず糖尿病は増加の一途をたどっているのです。
つまり、過食が糖尿病の原因であるとは一概に言いきれないのです。
<食生活の欧米化が高血糖を招く!>
戦後日本人のの食習慣の変遷を見てみますと、総エネルギーとしては増加したものの
昭和50年を境に横ばいかやや減少している傾向にあります。
栄養素のレベルで見ると脂質脂肪の摂取量が増え炭水化物の摂取が減少している傾向にあります。
この変化の波は糖尿病の増加の波とほとんど一致しているのです。
つまり日本人が脂肪の多い欧米風の食事を好む食習慣になってきたことが
糖尿病増加の原因だと考えられています。
逆を返せば原因を取り除くことが高血糖の予防、ひいては治療にもつながると言えるのです。
<日本人は糖尿病になりやすい?>
もともと日本民族の食生活は
農耕民族であるがゆえ穀物中心の粗食でした。
ですから血糖値をさげる必要があるほどカロリーを摂取していないため、
血糖値を下げるという機能が肉食中心の欧米人に比べて発達しなかったようです。
日本人は遺伝的に血糖値を下げる能力が小さいのです。
つまり、日本人は糖尿病になりやすい体質を持っていると言えます。
日本人が日本食を食べているうちはそれでよかったのですが、現代になり
食生活が欧米化されるにしたがって、血糖値を下げるという
日本人の不得意な能力が酷使されるようになりました。
ファーストフードなどによる食事に費やす時間の短縮は
満腹感がなかなか得られず
一気に血糖値を上げる結果になります。
また、自動販売機により缶コーヒーなどが手軽に入手できることで
糖分を摂取する機会が増えたことも日本人の血糖値を上げる要因となっています。
(ちなみに缶コーヒー1本に含まれる糖分は
角砂糖にして約6個分に相当するらしいです。)
それに加え、便利になった生活により運動量が著しく低下したたことが
現代日本人に糖尿病が増加に拍車をかけていると考えられます。
<日本古来の食習慣が世界的に見ても理想の食事>
理想的なカロリー摂取、つまり食事は炭水化物:たんぱく質:脂質の割合を4:3:3がいいとされています。
日本古来の食習慣がこれに近いと言われているのです。
つまり日本食を食べている限り糖尿病にはなりにくいのです。
しかし、近年の食文化の欧米化により特に日本人にとっては、糖尿病になる危険が上昇しているのが事実です。
<夜型の生活が高血糖を増加させている>
生活リズムの変化も糖尿病の増加に拍車をかけていることが最近分かってきました。
最近では老若男女を問わず夜型の生活を余儀なくされる方が多くなっています。
また、エンターテイメントの多様化パソコンの普及等から自ら好んで夜更かしをして
なかなか朝起きられないという人も昔よりずいぶん多くなっているのではないでしょうか。
遺伝子に刻まれた人間のリズムとは日が昇ると起き出して活動し日没と共に休むという有史以前より
連綿と繰り返されてきた人の営みに因るもので、現代人に少なからずある夜型の生活は、
人間本来の姿から逸脱したものになってきているのです。
人の体には、体内時計というものがありこの時計により1日の生理を調節しています。
もちろん、ホルモンの分泌も同様でインシュリンの分泌するタイミングなどもこの体内時計に
因るところが大きいのです。
不規則な生活で体内時計が狂ってくるともちろんインユリンの分泌のタイミングも狂ってきます。
したがって、血糖値があがった肝心なときにインシュリンが分泌されないということになり
糖尿病の原因となるのです。
まとめると、日本人はもともと糖尿病になりやすいうえに
日本本来の生活様式から欧米式の食生活を含めた生活になったために
糖尿病が増加していると言えます。
それに拍車をかけるのが便利になりすぎた文明でしょう。
家電製品は軒並みリモコン式になり極力動くことがなくても生活できるようになって来ました。
体が不自由なお年寄りなどには非常に便利なことでも
健常者にとっては動ける能力を封印することにつながります。
一昔前はテレビのチャンネルを変えたりボリウムを調節するのにも
テレビまでいちいち立って行かなければなりませんでした。
一見不便な動作は体にはとても優しい動きだった気がします。
あえてめんどくさがらず、進んで体を動かす習慣が糖尿病予防の第一歩のような気がします。